ゼロからはじめるサーキットベンディング 第一弾 ベンディングっておもしろい

Sound & Recording Magazine 1997年8月号

ヤ:純粋に子供が音を出して楽しむだけのもの。
でも音を出すこと自体快感じゃないですか。
楽器みたいに熟練とかまったく必要なくて
持った瞬間に弾けるのがオモロイ。
そんなプリミティブなものってパワーがあるんですよ。
音も安いけどいい音。”ビヨヨヨヨ~ン”って漫画的な擬音に
子供が反応して喜ぶように俺も完全な子供になってまう。
それとオモチャの楽器って、
壊れる寸前の音ってすごくいい音しますよね。
電池切れの時とか”俺死にかけなんだ”って訴えてる(笑)。
子供が電池切れそうな変な音でオモチャ鳴らしてるのを見たら
東洋哲学感じますよ。
(中略)
インタビュワー:オモチャを使うことに意味があるんじゃなくて
楽しいからやっているだけですか?
ヤ:そう、子供と一緒。ポイントは音が出るってことは人間にとって
死ぬほど楽しくてうれしいことなんです。
能動によって音が出るってことがね。
例えば手を上げたときに音が出るとか、
立ち上がったときに音が出るとか。
それは根源的にシャーマニズムに繋がるものなんですよ。
(以上ヤマタカEY∃氏へのインタビュー、Sound & Recording Magazine 1997.8月号 特集:オンガクする電子玩具より)

上の文章は音の探求者として、Boredomsほか多数のユニット、ソロ、
DJで世界中にその名と音を轟かすヤマタカEY∃氏が
おもちゃ楽器について語ったものだが、
これはサーキットベンディングの本質をもついていると思う。
IQの高さが鼻につくMax/MSPのパッチや
金さえあれば買える使い古しの音のビンテージ・シンセとは違い、
電子工学の壁から解放された思いもよらない音を、
安価に、自分の好みで演奏できる、
サーキットベンディングによる改造楽器は
いい年した大人が童心へ帰るためのタイムマシン。
リトルグルメやミニ四駆のボディの肉抜き、
最強バーコード集めに命をかけていた頃を思い出せ!!
金や技術の壁にとらわれないそのDIY精神は
21世紀のパンクとなりえるだろうか?